ペットと心地よく暮らすために
居心地の良い環境を整える。
それはわたしたち飼い主が考えるべきことの中でも、特に重要なものと言えるでしょう。動物福祉の観点からすれば、犬が安心できる環境で安全に暮らせるようにするのはとても大切なことですし、犬の心をケアしストレスを取り除いてあげるのは、様々な問題行動の予防にもつながります。
飼い主と犬、お互いに十分なメリットをもたらすものでもあるということを理解して、住環境の整備に取り組みましょう。
犬はどのような場所を好むか
最初に重点を置いて学ぶべきは、犬が愛する環境はどのようなものかということです。今までのLessonでもおりに触れて解説してきましたが、基本的には静かで、飼い主に近く、怪我や病気の危険が少ない場所に犬は安心感を覚えます。

屋内飼いの場合は人間も使用するスペースになりますから、ある程度は人間側の都合を優先させなければなりません。でも、ペットだって家族の一員なんです。家族に対してそうするように、住みよい環境を作るように努力しましょう。
風通しの良い部屋
犬は猫と比べて寒さには強いのですが、暑さや湿気に弱い動物です。常に窓を全開にする必要はありませんが、換気のしやすい場所で飼うとよいでしょう。空気の通りが良くなれば臭いもこもりにくくなります。
床はフローリングじゃだめ?
滑りやすい床は股関節の病気や骨折につながる恐れがあります。犬が歩く場所はカーペットを敷いたり、ペット用のフローリング材、防水塗装の施されたマットを使う、といった工夫をしましょう。
犬が入ってはいけない場所にはしきりを
危険なものでいっぱいのキッチンや、重要書類のある書斎など、犬が立ち入るべきでない場所は家庭内にもたくさんあります。扉で仕切れればいいのですが、そうできないときはどうすればよいでしょう?
そういうときはペット用のパーティションやゲート、柵などを用意して塞いでしまいましょう。行動範囲を狭めてしまうのはなんだか可愛そうですが、これも犬の健康のためです。
危ないものは置かない
犬が危害を加えてしまいそうなものについては、あらかじめ触れ合えないように対策を整えておきます。たとえば背の高い家具を犬のそばに置かない、ガラス窓が低い場所にある場合は覆いをつける、などの配慮が重要です。
刃物や薬など、危険なものは引き出しへしまいましょう。テーブルの上にも余計なものを置いてはいけません。勝手にゴミを漁れないよう、ゴミ箱も蓋付きのものに変えてしまいます。電源コードはかじられても大丈夫なように、テープで巻いたりカバーやコードケースを使って保護しましょう。感電事故防止のため、コンセントには専用のカバーをつけておきます。
赤ちゃんを育てたことのある方はお気づきかもしれませんが、これらの配慮は他の動物のみならず、人間にも通じるものです。もし悩んだときは、幼い子供を相手にしていると考えるとすんなり答えが出るかもしれません。
噛まれたくないものは?
噛みつき癖のない犬であろうと、ストレスがたまれば椅子の脚などをかじってしまう場合があります。子犬であれば対象を調べるために噛みつくことも。気がついたら大事な家具がぼろぼろに、なんてことは防ぎたいものですね。そのためにはちゃんとストレスケアをして……といいたいところですが、それだけで確実に防げるとは限りません。不安であれば、椅子やテーブルの脚に犬が嫌いな臭いを塗りつけておきましょう。
犬の嗅覚は人間よりはるかに優れていますから、あまり強烈な臭いではだめですし、体に良くない臭いを嗅がせてしまっては犬のためにもよくありません。おすすめはお酢です。これを数倍~数十倍に希釈して、家具の大事な部分に塗ってしまえば、大事な家具から飼い犬を遠ざけることができます。
これらのことに気をつけながら屋内犬の居場所を作ったら、次は快適な環境を作るためのケージ、サークルやその中に設置するものについて学びましょう。