Lesson3-2 トイレ、ハウス、食事

屋内のしつけ――トイレ、ハウス、食事

まずはトイレを覚えてもらおう

トレーニングトイレに慣れてもらうところから

飼い犬の生活環境を清潔にするために、まず犬を迎えたその日からトイレのしつけを行いましょう。子犬が落ち着けるような静かな場所に四面を柵かなにかで囲ったトレーニングトイレを設置し、そこで排泄を行うようしつけます。屋外でしつける場合も同様に、何か囲いを用意してあげてください。

最初はトイレのサインを見抜くところから始めます。起床後食後運動後ハウスやケージから出た後などは、犬がトイレに行きたくなるタイミングです。犬がそわそわする、あたりを嗅ぎまわる、部屋の中を歩き回るなど、いかにもトイレを我慢しているようなそぶりを見せたら、抱えてトレーニングトイレの中にそっと置いてあげましょう。

そこで「トイレ」など、今後のトイレの合図として使いたい言葉を優しくかけながら、犬が排泄をするのを見守ってください。上手にできたらご褒美(強化子)をあげ、成功体験として強く印象付けます。トイレが終わった後は、尿の匂いのついたものをトレーニングトイレに残しておきます。

一匹でトイレに行けるようにする

少しずつトイレのハードルを上げていきます。トレーニングトイレに入れてから排泄するまでの間隔が短くなってくると、次のステップへの移行時期です。今度は犬をトレーニングトイレに入れた後、側面を一部取り払い、自由に出入りできるようにします。排泄した後にトイレから出てくるようになればOK、次のステップへ行きましょう。もし排泄前にトイレから出てくるようであれば、前のステップからやり直しです。

次のステップでは、トレーニングトイレの側面を取り払い、自由に出入りできるようにします。犬が尿意を覚えたら、合図の言葉をかけて犬をトイレに誘導します。そうするうちに、犬も自主的にトイレに向かうようになります。ここで失敗した場合は前のステップからやり直しましょう。

トイレは大事なしつけですが、半年ほどかかる犬もいるほどで、覚えるまで大変時間がかかります。また、失敗しても怒ってはいけません。犬はトイレの場所を間違えたことではなく、排泄そのものを悪いこととして覚えてしまいかねません。そうなると今度は人目を盗んで排泄するようになってしまうため、失敗したときは何食わぬ顔でひっそりと排泄物を片付けます。

犬のための居場所を用意してあげる――ハウス

静かに過ごせる場所

犬は穴を掘る生き物である、と以前のLessonで書いたとおり、本来は穴倉の中で暮らす生き物です。屋外なら犬小屋、室内で犬を飼う場合はハウスを、それぞれ用意してあげる必要があるでしょう。昼は静か人の気配が感じられる場所、夜は寝室など、飼い主のそばがおすすめです。

ここでも正の強化子としておやつを使うのがよいでしょう。犬をハウスに誘導するときは、「ハウス!」などの合図としての言葉と一緒に、犬におやつを見せてハウスへ誘導します。犬がちゃんとハウスでおとなしくしたら、ここで見せたおやつをあげたり、たっぷりと褒めてあげたりします。「ハウス」=「居心地のよい場所」という構図を教え込むのがコツです。

こうして犬をハウスに誘導できるようになったら、次はハウスの中にいる時間を少しずつ伸ばしていきます。ハウスのほとんどは扉がついているはずですから、最初は1,2秒ほど扉を閉め、開いてからおやつをあげる。それから扉を閉める時間を少しずつ伸ばしていき、開いてからおやつをあげる、を繰り返します。もし犬が吠え出した場合は、ハウスから出してはいけません。吠えても意味がないことを教え込むためです。

大事なことは、ハウスで負の強化子を与えないこと。ハウスは居心地のよい場所ですから、そこで叱られたりするようでは、しつけの根本が崩壊してしまいます。

食事のしつけは段階を追って

犬は食いだめをする生き物なので、命令がなければ際限なく食べ続けてお腹を壊してしまう恐れがあります。食材の中には食べてはいけないものが混じっているかもしれません。飼い主としては、きちんと食材を検めて、食べても大丈夫と判断してから適量を食べさせたいものです。

最初に「座れ」を覚えさせましょう。犬が腰を下ろしてじっとしている状態を作るためです。まずは命令のための言葉(例:お座り!)を決めて、言葉をかけて座るようになったら正の強化子を与える、という手順を繰り返します。

Lesson3-2

「座れ」が出来るようになったら、今度はその状態を持続させるため、「待て」を覚えさせましょう。ここでも正の強化子を活用しつつ、命令の言葉(例:待て!)で待機できたらご褒美を、命令解除の言葉(例:よし!)で「待て」をやめたらご褒美を……という具合にしつけていきます。大事なのはご褒美を上げるタイミングです。命令に違反した瞬間にあわててあげてはいけません。

最後に食事のしつけです。ご飯を前にして「待て」をさせる。ちゃんと静止したら命令解除の言葉で食事にありつかせる。これを覚えるまで毎回繰り返します。また、食事をいったん中止させるために、「待て」と同じ要領で「お預け」もしつけられればなおいいでしょう。

屋内の主要なしつけができるようになったら、次は屋外のしつけです。