犬の行動にも理由がある
ペットの行動はときとして不可解なものです。突然自転車を追いかけ始めたり、何もないところに穴を掘り始めたり……。
でも、どうしてこんなことを? と思うような行動にもちゃんとした理由があるのです。犬の体の仕組みや本能から、行動の理由を読み解いていきましょう。
穴を掘る
穴を掘るのは犬の代表的な習性の一つです。穴は犬にとってシェルターのようなものであり、同時に冷蔵庫ならぬ貯蔵庫であったり、捕らえるべき獲物の住処でもありますから、野生の頃のくせが抜けずに今でも穴を掘りたがります。
本能的な行動なのでことさらに驚く必要はありませんが、家の床を剥げさせるなど、過度な穴掘り行為が目につく場合は、大変な不安を抱えている可能性が考えられます。いちど獣医に相談してみましょう。
ひざに前足を置く
Introductionにも書いたとおり、これは飼い主に何かをお願いするときの行動です。もちろん自然界では優位性を示すためのものなので、ぽんと前足を置かれたときは、ちゃんと犬の耳や口を見て正確に考えを読み取りましょう。
ただ吠えるのと遠吠えは違う
犬の遠吠えはオオカミの頃から受け継いできた習慣の名残です。位置確認、喜びや祝いの遠吠え、仲間の招集、何らかの警告……その遠吠えには様々な意味が込められています。
一方で、吠えるのは主に警告や要求のためです。集団行動とはあまり関わりがなく、犬自身が興奮したり、警告や注意を発するために吠えてしまうようです。
仰向けになる
犬が仰向けになるのは服従の意を示すためですが、これは犬の降伏宣言と取れるケースが多く、もう二度としないという反省が含まれています。犬がこのポーズをしているときは「参った!」とか「もうお手上げ!」な状態であると考えればよいでしょう。

またこれは子犬が母犬に排泄を促してもらうための姿勢でもあり、すっかり成長してからも、大好きな人に撫でてほしいときに仰向けになる犬もいます。そういうときはたっぷりスキンシップを取ってあげましょう。
自転車や自動車を見ると走り出す
動いているものを追いかけるのは犬の本能です。野生の頃から遺伝子に刻まれた狩りの習性が残っていますから、どうしても反射的に反応してしまうのですね。もちろん逃げるものを追いかけるのも本能的な行動で、相手が自転車や自動車といった人工物でも変わりありません。
おもちゃを咥えて頭を振る
怒っているようにも見えないのに、犬がおもちゃを咥えたままぶんぶん振り回している……そんな現場に遭遇したことはありませんか? 犬を飼っていると何度も見ることになると思いますが、これも本能的な行動です。野生の犬はこうやって獲物に致命傷を与えるのですが、長い年月を経て飼い犬となっても、体がしっかり覚えています。
犬用のおもちゃの中には、本能を刺激するタイプのものも豊富にあります。初めて見るとびっくりしてしまうかもしれませんが、運動やストレス発散には最適ということですね。
排泄物に後足で砂をかける
以前のLessonでも紹介しましたが、犬は優れた嗅覚の持ち主であり、匂いから様々な情報を読み取ることができます。したがって、彼らが縄張りを維持しようとするときは、電柱などに尿をかけて匂いを残し、自分の存在をアピールします。これをマーキングといいます。
排泄物に砂をかけるのもマーキングの一種。匂いを消しているように見えますが、実はそうではありません。肉球の汗腺や指の間の毛を覆う皮脂腺から出る分泌物を、砂や土に染み込ませ、自分の匂いを排泄物の周囲にも広げているのです。
犬の本能や体の仕組みを知っていると、なぜこんなことをするの? という行動も明快に説明できるようになります。まずは体の仕組みを知るのが大事ですが、逆に犬の行動から理由を推測するのも楽しいですね。