Lesson13-3 猫のトリミングとその危険性

果たして猫にトリミングは必要か?

猫のトリミングについて調べてみると、あまり情報が出てこないことに気付いてしまうかもしれません。

犬に関してはトリマーさんに毛を刈ってもらったという情報がたくさん流れてきますし、特徴的なカットをうたうトリマーさんやペットサロンも存在します。犬のカットについて解説した本だって、探せばたくさん見つかるでしょう。

でも、猫のトリミングを引き受けてくれるお店はなかなか見つかりません。それはなぜでしょう?

答えは危険だからです。

猫は被毛を切られるのを嫌う

犬と比べると、猫はトリミングの最中に暴れることが多いのです。トリマーさんを爪の先で引っかいたり、激しく動いたせいでハサミが刺さったりすることもあり、毛を刈る側も刈られる側も危険です。

また、ハサミがだめなら、とバリカンを使う場合も注意が必要です。強力なバリカンを使った場合、猫の皮膚を巻き込んでしまう可能性があるからです。毛を刈り取るつもりが思わぬところから出血という事態になれば、トリミングどころではありません。

猫のトリミングを引き受けてくれるペットサロン・動物病院はもちろん存在しますが、数自体は少なく安全性にも疑問があります。そのうえ、猫が暴れる場合は全身麻酔鎮静剤を使うと明記しているところは少なくありません。猫の体には負担がかかりますし、麻酔を打つための血液検査も必要になってくるので、費用もかさんでしまいます。

Lesson13-3

トリミングのストレスと麻酔の後遺症で猫が事故死する可能性も低くはありません。もしトリミングを実際に行うのでしたら、信頼のおけるプロに頼むか、あるいは出張トリマーさんをご自宅に呼んで飼い主自らトリミングに立ち会うべきでしょう。

どうしても必要な場合

もちろん、猫がおとなしくしてくれて、ストレスも感じないのであれば、多少は毛を刈り取っても構いません。ハサミは胴体を傷つけないように、背中側からお腹側へ縦に入れましょう。もし尻尾から顔の方へ刃先を向けたりした場合は、猫が方向転換しようとしたときに皮膚を刺してしまう恐れがあります。

バリカンを使う場合は表面をなぞるように、先端から先をそっと刈り取りましょう。ただし猫によってはバリカンのモーター音に拒絶反応を示してしまいますので、嫌がるようであれば諦めましょう。