猫が健康的に暮らすために、わたしたちは何をすれば良いのでしょうか。今回のLessonでは、避妊や病気・事故への対策、具合が悪いときのお世話の仕方などについて考えていきましょう。
去勢手術と避妊手術
もし繁殖させる気がない場合、避妊手術をお勧めします。
オスは生後8ヶ月ごろに、メスは生後6ヶ月ごろに(長毛種など、品種によっては9~12ヶ月頃から)性的に成熟します。時が来れば繁殖行動に勤しむのは動物にとっては当たり前のことであり、猫も例外ではありません。
オスはメスの取り合いで争い、部屋のあちこちにマーキングとしてスプレー尿をかけ始めます。メスも大きな声で鳴き始めるようになり、外に出ようと必死な様子を見せることもあります。これらの行動がどういう事態につながるのか、ちょっと想像を働かせてみて下さい。ちなみにメスは交尾をきっかけに排卵してしまいますので、受精率が非常に高く、もし避妊手術をしなければ高確率で妊娠してしまいます。
去勢手術や避妊手術を行う場合は、オスの場合は睾丸を、メスは開腹して卵巣(と場合によっては子宮)を摘出します。手術費用はまちまちでおよそ2万円~5万円前後と言われていますが、自治体が数千円程度の助成金を出してくれることもありますので、問い合わせた上で去勢・避妊手術に臨むのがよいでしょう。手術に適した時期については「性成熟する前」「生後10ヶ月ごろ」など諸説ありますので、早めに獣医師と相談するのが良いでしょう。

去勢・避妊手術の目的は望まぬ妊娠を避けることですが、それ以外にも様々なメリットがあります。オスはマーキングの頻度が減り、メスを取り合うこともなくなるので、怪我を負う可能性がだいぶ下がります。メスの場合は怪我もさることながら、生殖器の病気や性病に対する予防となるでしょう。
反対に、太りやすくなるというデメリットもあります。去勢手術によってオスはホルモン分泌量が下がり、大人しくなってしまうため、相対的に運動量が低下してしまいます。逆にメスは食欲が亢進し、食事量が増えてしまい、結果として太る可能性が高くなるのです。
メリットやデメリットも考慮した上で、きちんと去勢・避妊のために思いをめぐらすことが、猫の飼い主には必要なのです。
ワクチン接種
猫にも何種類ものワクチンが開発されています。ただしこれを何回、どのようなものを摂取すべきかは猫の育成状況によって変わってきますから、きちんと獣医師さんと話し合いましょう。一般的には相談した上でワクチン接種計画を立て、計画的に投与していくことになります。
また、子猫にワクチンを投与する際は、効果的な時期を見計らいましょう。幼い頃は血液中に残った母猫の抗体が様々な異物を排除する効果を持っているからです。これを受動免疫といい、母猫から借り受けたこの受動免疫が役目を終了するのはおよそ12~16週齢と言われています。
ワクチンにも死んだウイルスを使う不活性ワクチンと弱体化したウイルスを用いる生ワクチンの2種類がありますが、いずれも受動免疫機能によって排除されてしまいます。これでは子猫が自分で免疫を作れません。したがって、生後しばらくは待つ必要があるのです。
ただし、ワクチンも必ずしも安全なものではありません。免疫を作るためとはいえ猫は一時的に体調不良に陥ることがありますし、不活性ワクチンに含まれるアジュバント(ワクチンの効果をUPさせるための補助剤)が副作用を引き起こす可能性もあります。猫の体調が優れないときはワクチン接種を延期するなど、十分な対策と事前の調査が必要となるでしょう。
また、ワクチン接種の有無がペット保険の加入条件になっていることもありますので、そこも見逃さずに検討しておきましょう。
住環境の整備
猫が怪我をしてしまわないように、部屋もなるべく危険なものがないように整備を行います。基本的には犬と同じで、電気コードに保護カバーをつけたり、ベランダや書斎の入り口に防護柵を設けたりすればよいのですが、猫らしいところとして、
- 洗濯機に蓋をする
- 棚の前などに部分的にカーペットを敷く
この2つは意識すると良いでしょう。猫はぐるぐる回るものの中に面白がって飛び込んでしまう恐れがありますから、洗濯槽に入ることのないよう必ず蓋をつけましょう。また、高いところから着地したときの衝撃を和らげるカーペットがあると、肉球を傷つける可能性もだいぶ下がり、猫はより快適で安全な暮らしを送れるようになります。