猫も様々な病気にかかる
病気を治すのは獣医師の仕事ですが、その確率を最大限に引き下げ、病気の猫の面倒を見ることはできます。ここでは猫のかかりやすい病気について学んでいきましょう。

ワクチンで予防できるもの
病気の多くはワクチンの摂取で予防できます。まずはそのような病気について知識を深めましょう。
ネコ伝染性腸炎
パルボウイルスによる感染症。白血球の数が激減し、高熱・嘔吐・下痢などが続きます。子猫の内にかかってしまうと九割近い確率で死んでしまう恐ろしい病気です。
ネコウイルス性鼻気管炎
ヘルペスウイルスによる感染症。通称ネコカゼ。発熱、くしゃみ、よだれ、鼻水といった風邪のような症状が出ます。
カリシウイルス感染症
カリシウイルスによる感染症。ネコウイルス性鼻気管炎とほぼ同様の症状が発生します。ネコのインフルエンザとも呼ばれており、口内炎や舌炎が主症状となります。
ネコ白血病ウイルス感染症
ネコ白血病ウイルスによる感染症です。感染力そのものは弱いのですが、免疫力が落ちるため他の病気にかかりやすくなり、白血病にかかりやすくなります。
ネコ免疫不全ウイルス感染症
通称ネコエイズ。潜伏期間が長いため感染してもすぐには症状が出ないことがあります。人間のエイズと同様に、免疫力を低下させてしまうため他の伝染病にかかりやすくなります。
→2025年現在、ネコ免疫不全ウイルス感染症の予防ワクチンは国内での流通がストップしています。
詳しくはかかりつけの獣医師にお尋ねください。
ワクチンによる予防の難しいもの
ネコ伝染性腹膜炎
病原性の薄いコロナウイルスの一種がネコの体内で突然変異してネコ伝染性腹膜炎ウイルスに変化し、腹水炎を引き起こします。腹などに水が溜まり異様な膨らみができたらこの感染症を疑いましょう。致死率は100%に近く、発症してしまったら安楽死をおすすめされることもあります。
黄色脂肪症
通称イエローファットと呼ばれるビタミンE不足。マグロやサバなど赤身の魚を与えすぎると、それらに含まれている脂肪酸が酸化するときに体内のビタミンEを破壊してしまいます。変性した皮下脂肪のために腹部にしこりができ、黄色く変色して見えるのがこの病気の特徴です。
回虫症
寄生虫の一種、回虫によって引き起こされる病気です。哺乳動物の小腸に寄生した回虫が糞便などを経由して猫の小腸に宿り、下痢や嘔吐などの症状を引き起こします。免疫の成長した成犬であれば回虫はさほど大きくなりませんが、猫の場合は成猫でも十分な大きさになってしまうので注意が必要です。
疥癬
ヒゼンダニが皮膚に寄生し、皮膚を破壊して炎症反応を引き起こします。感染している動物から移され疥癬になった猫は、耳や頭部をかゆがり、耳を地面に擦り付けたりします。引っかき過ぎによる脱毛や傷らしきものがみえたら注意しましょう。
また、疥癬は人間にも移ります。ペットホテルや猫カフェなど、他の猫からの感染が疑われるような場所に行く際は注意しましょう。
皮膚糸状菌症
犬小胞子菌など、真菌の一種である皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)が毛や皮膚などに感染することで発症する病気です。円形脱毛症や免疫力の低下などを引き起こす厄介な病気ですが、まったく症状の出ない猫もいます。
ちなみにこの皮膚糸状菌は白癬とも呼ばれていて、人間の足についた場合は水虫と呼ばれます。
トキソプラズマ症
生肉や猫の便に棲息するトキソプラズマという原虫に感染することで引き起こされる病気です。子猫の場合は嘔吐や下痢を起こし、最悪の場合は死に至ることもありますが、成長した猫は感染してもまず無症状です。
また、トキソプラズマにかかった猫は、感染後3~24日後に虫体の排泄を始めます。これが10日ほど続くと、以後排出することはありません。人間にも基本的には無害ですが、妊婦が生まれて初めて感染した場合に限っては胎内の子供に影響が出る可能性がありますので、妊娠中は猫の便に触れない、生肉を与えないといった配慮が必要になります。