Lesson14-3 病気の兆候を探る

猫の様子がおかしいと思ったら

猫の様子がおかしいと思ったら、それは病気のサインかもしれません。前回のLessonでは猫のかかりやすい病気について学びましたが、ここではそれらの病気の兆候を発見するコツを学んでいきます。

黒い耳垢がある

頻繁に耳を引っかいている場合は要注意。耳ダニの寄生、外耳炎の発症など様々な要因が考えられますので、早めに治療を受けるようにします。ペットショップで販売されている耳ダニの薬を使うのも良いでしょう。

普段から積極的に耳掃除を行うのが予防策になります。

猫が咳やくしゃみをする

風邪の可能性も高いのですが、もし長引くようでしたらウイルス性疾患かもしれません。ウイルス性疾患ならワクチンで予防することはできますが、ワクチン接種を怠っている場合、免疫力が低下したところで合併症を起こす危険があります。

Lesson14-3

多飲多尿

あまりにも水をたくさん飲み、その分尿をするようになったら、糖尿病の初期症状かもしれません。普段の水の摂取量と尿量をきちんとメモし、極端に多くなった場合は獣医師に相談しましょう。

糖尿病には肥満防止策として早食い・ドカ食いをやめさせるのが効果的ですが、10歳以上になると基礎代謝の低下から以前の食事量だと多過ぎるということになりかねず、糖尿病にかかる可能性が高くなります。

食欲がない

ちょっとした変化から来る体調不良の場合は問題ありませんが、長引く場合は風邪・ウイルス性疾患の可能性があります。

猫の便秘

ストレスや運動不足が原因で猫も便秘になることがあります。これも2、3日程度なら問題ありませんが、毛球症などの可能性もありますので早めに診察を受けましょう。

もし何らかの病気にかかっていないにも関わらず便秘が続くようであれば、食事療法による改善を試みるのが良いでしょう。

鼻が乾いている

就寝前後を除き、平常時の猫の鼻は湿っています。ここが乾燥している場合は熱性の疾患伝染病などで体温が上昇しているサインです。普段からこまめに体温を測る習慣をつけて、早めに察知できるようにしましょう。

血便が出る

血便といえば鮮血の混じる赤い便、というイメージですが、実は黒々としたタール便も血便と呼ばれます。ただの下痢ならしばらく食事の量を減らして様子を見ても良いのですが、血便は明らかな危険信号です。速やかに診察を受けてください。

お腹にしこりがある

前回のLessonで学んだ黄色脂肪症の可能性があります。黄色脂肪症は炎症なので触れば痛がりますが、もし触っても痛がらない場合は乳がんの可能性があります。

急に抱っこを嫌うようになった

毎日抱いているのにある日突然嫌がられるようになった、という場合は骨折怪我などの外傷を疑いましょう。

猫のハゲ

前回のLessonでも学んだとおり、カビやダニが原因で円形脱毛症になる猫はいます。皮膚が炎症を起こしてかゆくなっている場合はついつい引っかいてしまうわけですね。ストレスやノミダニ、カビは脱毛の引き金ですので、なるべく家の中を清潔に保ちストレスを与えないようにしてください

尿を排出できない

おしっこのポーズを取っているのに尿が出ないのは危険な状態です。尿路結石泌尿器系のトラブルが発生していると考えられます。もしペニスが体外に出たままなのに尿が出ない場合、尿毒症という命に関わる病気にかかっている可能性もありますので、一刻も早く診察を受けましょう。

瞬膜が頻繁に出る

瞳の目頭に近い方に出る白い膜瞬膜と呼びます。この膜は寝起きの際に出るものなので病気ではありませんが、いつまでも眼球の上に出たままであれば体調不良を疑った方が良いでしょう。瞬膜は猫の健康状態をチェックする上でのバロメーターとして、体に何らかのトラブルがあった場合に出てくることが多いのです。

頻繁に夜鳴きをするようになった

発情期の猫であれば発情のサインでしょう。去勢手術をしているのに騒ぐようであれば、最近何か変わったことがないか調べてみましょう。引越しなどの環境の変化によるストレスが原因かもしれません。

目ヤニや涙が出る

結膜炎ウイルス性の鼻気管炎の可能性がありますので、もし風邪の諸症状が出てきた場合は速やかに診察を受けましょう。

嘔吐

猫はわりと頻繁に嘔吐する生き物なので、食べたものを吐き戻した程度ならあまり心配はいりません。長毛種なら毛玉を吐き出すこともありますが、吐くことも排出することもできない毛球症になるのを自ら予防していると考えられます。1~2ヶ月に1回程度の頻度ならおおむね正常です。

ただし、吐いたものの中に血が混じっている場合は病気の疑いが濃厚です。

手足をこわばらせて白目になる

てんかんの発作の可能性があります。命に関わることはまれですので、慌てず落ち着いて獣医師と相談しましょう。

食べた後にすぐ餌をねだる

もしかしたら餌の量があまりにも少ないのかもしれません。ただし、猫が7歳以上であれば認知症の可能性もあります。トイレの場所を忘れたり、眠ってばかりであれば、もう寿命が近いのかもしれません。

よだれがあまりにも多い

口内炎の可能性があります。以前のLessonでも学びましたが、よだれの量、口臭、歯石の有無、歯肉の色などが判断材料となります。もう一つの可能性として腎不全も考えられます。

腎不全は基礎疾患や遺伝のほか、腎臓の中のネフロンが何らかの理由で傷ついたことが原因で発生することがありますので、投薬や食事療法、場合によっては腎移植によって治療を行います。

お腹がぱんぱんに膨らんでいる

回虫が原因で腹部が膨らんでしまうことがあります。また、伝染性の腹膜炎により、腹水が溜まることもありますが、これは危険な病気なので即座に病院へ行きましょう。急にお腹が張った場合はガスや泌尿器系の病気が疑われます。