猫に必要な食事とは?
犬の項目でも触れましたが、1日に必要なカロリー数や栄養素については、個体差こそあるものの種族ごとに大まかな量が決まっています。何を食べるのが良く、何を食べてはいけないのかもおおよそ判明しています。
肥満は様々な病気を呼び込む原因になり得ますし、やせ過ぎるのも健康的ではありません。このLessonでは適切な食事の量と栄養素について学んでいきましょう。
一日に必要な食事量と栄養素
そもそも猫は狩猟動物である、ということを思い出しましょう。肉食獣は肉さえ食べられる環境であればおおむね生きていけますし、獲物の食べた雑穀類で炭水化物を取ることもできますので、狩りのできる環境にいればさほど問題はありません。
ただし、それで問題が生じないのは内臓や骨などを丸ごと食べているからです。「猫は肉食獣だから……」と考えてひれ肉や魚の切り身だけ与え続けてしまうと、ビタミンやミネラルが不足してしまいます。肉だけ、魚だけといった極端な食生活は控えるべきでしょう。
犬は雑食よりの動物でしたが、猫は肉食獣としての特徴がより顕著に食生活に表れます。例として1日の食事量における必要なたんぱく質の割合を比較してみましょう。犬が18%、猫は26%です。また、猫は犬と違ってビタミンA、タウリン、動物性脂肪酸のアラキドン酸などを必要としており、これらが含まれていない犬のペットフードを猫に与えてしまうと様々な障害が現れます。

猫に必要な栄養素は、これらのたんぱく質やビタミンAを筆頭におよそ44種類と言われていますが、人間が猫の食生活に必要な栄養素を満たす食事を作るのは簡単なことではありません。最初はやはり必須栄養素がバランスよく含まれたキャットフードと水を与えるのが安全でしょう。
一日に必要なカロリー数
猫が1日に摂取すべきカロリーの目安は、体重1kgにつき80kcalです。つまり、体重5kgの猫なら1日に400kcalを与えればいい計算になりますね。キャットフードを与える場合は、表示されたグラムあたりのカロリー数から必要量を割り出して、1日数回に分けて与えると良いでしょう。
ただし、この必要カロリー数は猫の年齢によっても変わってくるので注意してください。子猫の場合は体重1kgあたり80kcalではなく、もっと栄養価の高い餌を与える必要があります。時期ごとの体重1kgあたりの必要カロリー数は以下のようになります。
- 2~4ヶ月未満 200kcal
- 4~5ヶ月未満 130kcal
- 5~6ヶ月未満 100kcal
- 一般的な成猫 80kcal
- 運動量の少ない猫 70kcal
- 10歳以上の猫 60kcal
子猫は軽いので必要カロリー数も結局は成猫より少なめですが、相対的に栄養価の高い餌が必要になると考えましょう。これは人間も同じことで、実は赤ちゃんの方が体重1kgあたりの必要カロリー数は多いのです。
ドライフードとウエットフード
キャットフードは水分含有量によって三種類に分かれています。水分含有量10%ほどしかないドライフード、水分含有量40%程度のセミモイストタイプ、そして水分含有量75%ほどのウエットタイプです。といってもセミモイストタイプのキャットフードはあまり流通していないため、実際にはドライフードとウエットタイプのいずれかを選ぶことになるでしょう。
両者ともにメリット・デメリットがあります。たとえばドライフードは栄養バランスが良く、繊維質が多く含まれており、乾燥していることから保存性も高くなっています。
ウエットフードは高たんぱく高脂肪で、一度に少量でたくさんのカロリーを摂取できるため、食の細い猫や食欲のない猫におすすめできます。また、普通のご飯よりぐちゃっと混ぜられたご飯を好む猫も多いことから、見た目の面からウエットフードは猫の食事に適していると言えるかもしれません。その代わり、食べかすが残りやすく口臭や歯石の発生率が高くなることにも注意しましょう。
餌をあげるタイミングは1日2回でよい?
テキストによっては朝晩2回で良いと書かれていますが、その食生活は必ずしも正しいわけではありません。自由にご飯を食べられる環境に置いたとき、猫は少量を小分けにして1日に何度も食事を摂ります。
猫の祖先であるリビアヤマネコは砂漠に暮らす動物でした。大物を捕るチャンスは少なく、一度に大量の小動物を狩ることもそうそうありませんから、日に何度も狩りをすることになります。その結果として、少量を1日に何度も食べるようになったのではないかと推測できます。
猫に餌をやるのは1日2回でも問題はありませんが、1日に何回も少量ずつ餌を与えるという方針もけっして間違いではないことは知っておくと良いでしょう。
猫は自分で栄養バランスを調整する
100匹以上の猫を対象として、猫に食べたいものを自由に食べさせるという実験が行われたことがありました。結果として、どの猫も1日の3大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)の摂取量がほとんど同じであるという驚きの事実が判明したのです。
具体的な数字を出すと、猫たちは1日に26グラムのたんぱく質、9グラムの脂質、8グラムの炭水化物をとっていました。この栄養バランスは自然の中で暮らす猫のそれと近いものです。また、炭水化物の摂取量に関しては1日あたり70kcalを超えないよう調整するという離れ業も見せています。
もちろん全ての猫がこのような自制心を持って餌を食べるとは限りませんが、餌で困ったときは変に人間が考えるのではなく、様々な餌を与えてみるというのもひとつの手かもしれません。しかし、もちろんのこと与えてはいけない食材もあります。次のLessonでは危険な食材について学んでいきましょう。