猫の耳を知ろう
猫の耳は人間の耳と似ています。
外に出ている耳介、やや奥まったところにある垂直耳道、そこから鼓膜へとつながる水平耳道があり、この二つの耳道がL字を形成しています。鼓膜の向こうには鼓室があり、この中には音を20倍以上の大きさに増幅する耳小骨が存在します。耳小骨は「ツチ」「キヌタ」「アブミ」という3つのパーツから構成されています。
鼓室の隣にあるのが「蝸牛」と「三半規管」です。蝸牛の役割は音を電気信号に変換して脳に送ることで、猫の類まれなバランス感覚をつかさどるのが三半規管です。また鼓室から口に向けて耳管と呼ばれる管が通っており、これが耳と大気の気圧差を調整します。
猫はやはり綺麗好きな動物ですので、耳も綺麗に保たれていますが、お手入れに手を抜いてはいけません。
たとえば、耳が折れているせいで通気性が悪いスコティッシュフォールドなどの品種は、耳の奥に汚れや垢が溜まって雑菌が繁殖しやすいのです。そうでなくとも脂分が多過ぎれば耳垢は溜まりやすくなりますから、10日に1回は耳掃除をしてあげなければならなくなります。
耳掃除の方法
耳掃除をする際は、定期的に明るい光の下で耳の中を調べて、あまりにも耳垢が多ければ着手するという方針が良いでしょう。方法としては単純で、小指にガーゼやコットン、ティッシュペーパーなどを巻きつけて、耳介から耳道のあたりをまとめて拭いてあげます。
もし耳掃除用のローションなどを持っていたら、ティッシュにしみこませてみるのもいいかもしれません。ローションには殺菌作用や角質の分解作用があることが多く、上手く活用してやれば耳の穴を拭き取っているだけでしっかりした耳掃除になるからです。
犬と同様、あまり耳の奥まで綺麗にしようと欲張るのは厳禁です。失敗してしまうと耳介や垂直耳道の付近にある汚れを耳道の奥深くへ押し込んでしまう恐れがあるから、というのがその理由です。慣れない内は綿棒を使うのもあまりお勧めはしません。猫が急に頭を動かしたとき、耳の奥を突いてしまう恐れがあるためです。
病気予防のための耳かきで猫の繊細な器官を傷つけるわけにはいきません。耳かきは他のケアと比べればそこまで重要ではありませんので、耳奥の汚れがどうしても気になるようであれば獣医さんと相談しましょう。