歯の手入れ
犬の歯磨きでも触れましたが、実は猫にも歯周病は存在します。内科的な問題が原因である場合も少なくないのですが、歯石が歯肉炎を誘発することも多いのです。歯肉炎は放置すると歯周病となり、歯の根元がぐらぐらしだして、やがて抜けてしまいます。
メカニズムは次のようなものです。食後、菌膜が歯に付着してしまうと24時間ほどで歯垢となり、これが数日も経てば歯石に変化してしまいます。歯石に変化すると除くのが困難になりますので、時間的な余裕があれば毎日でも歯を磨いた方が良いでしょう。特に柔らかくて湿ったウェットフードを食べると汚れが溜まりやすいので、与えている場合は注意すべきです。
もし歯石がついてしまったら、毎年1、2回の頻度で獣医師にとってもらいましょう。幸いにも歯石が付き始めるのは2~3歳の頃からですから、幼い内に歯磨きの習慣をつけておけば対処は充分に可能です。
歯磨きのやり方
基本的なやり方は犬と同じです。最初は湿ったガーゼで猫の口を触る練習から始めましょう。指に巻きつけたガーゼを猫が嫌がらず、歯に触って軽くこすっても抵抗しないようであれば歯磨きをしても問題ありません。まず猫を抱え込み、歯ブラシを持っていない方(ガーゼを巻きつけていない方)の手で猫の頭をつかみ、親指でそっと唇を開きます。そうして奥歯から前歯へ順番に磨いていきます。
このとき歯肉や歯の色をチェックするのも忘れないようにしましょう。固いピンク色をした健康的な歯肉であれば良いのですが、妙な悪臭があったり、汚い色合いになっていたら要注意です。いずれも歯周病の前兆です。
歯を磨き上げるときは、歯茎から歯の先に向けて指先で拭うようにします。歯と歯の間の汚れは猫用の歯ブラシを使えば取りやすいのですが、猫が歯ブラシに慣れるまでは指先で汚れを取りましょう。最初はこそげ落とすのも難しいでしょうが、無理に力を入れて歯茎に爪を立てたりしてしまわないよう注意しましょう。
歯磨きの注意点
他にも注意すべき点があります。それは人間用の歯磨きの道具を決して使わないことです。人間用の歯ブラシは毛先が硬く、猫の歯茎を傷つけてしまう恐れがあるからです。歯磨き粉も同様です。犬のLessonでも触れましたが、人間用の歯磨き粉に含まれるキシリトールは猫にとっては強力な毒になりうるもので、低血糖を引き起こす恐れがあります。

猫用の道具、猫用の歯磨き粉を使えば問題ありません。大事なペットの健康維持に使うものですから、なるべく安全上問題のないものを選ぶようにしましょう。