爪とぎをやめさせる方法はない
猫は身奇麗にする動物なので、飼い主が放っておいてもある程度は清潔な状態を保ってくれます。ざらついた舌によるブラッシングは消臭効果も高く、きちんと栄養を取って病気にさえかかっていなければ、飼い猫はいつもさっぱりした様子でいます。
しかし、綺麗好きゆえ困ったことも発生するもので、たとえば猫の爪とぎは、ときに家屋に甚大な被害をもたらします。爪をとぐのは仕方がないとして、お気に入りの壁紙やカーテンを引っかかれるのはちょっと困りものですね。

しかし、Lesson10-4でも学んだ通り、爪とぎは猫の本能的な行動であり、やめさせることはできません。したがって、爪とぎに対しては2つの方向からアプローチをかけることになります。
解決策の1つは爪とぎ対策用のグッズを用意すること。たとえば爪とぎ用の板であったり、猫の爪に直接はめる爪サックのようなもので解決を図ります。もう1つの解決策は、猫の爪きりです。爪とぎを抑える代わりに、2週間に1度程度の頻度で飼い主が猫の爪を切ってあげれば、怪我の危険などもぐっと下がるでしょう。
それでは、まずはグッズ方面の解決策から検討していきましょう。
爪とぎ対策グッズを考える
市販されている爪とぎ対策グッズで代表的なものは、やはり様々な素材で作られた「爪とぎ板」ではないでしょうか。天然の丸太や板を利用した爪とぎボードの中には、壁に貼れるものやでこぼこのもの、家具や階段を守るための形状になったものなど、様々な製品があります。
さすがに猫のことを研究した上で作られているのか、市販の爪とぎ板は猫の興味を引くようなつくりになっています。立てたときに少なくとも30cmほどの高さがある。寄りかかっても大丈夫なほどどっしりしている。節目が縦方向に伸びている……などなど、爪とぎ板に相応しい特徴を備えていますし、猫をひきつけるためにマタタビの匂いがついているものも存在します。
特定の板で爪とぎをしてもらうコツは、猫が爪とぎの姿勢を見せた瞬間にすかさず板を差し出したり、猫が普段爪とぎをするような場所に立てかけておくことです。もちろん猫がその爪とぎ板を気に入ってくれるとは限りませんが、そういった努力をするのとしないのとではしつけの成功率も大きく変わってくるでしょう。
また、世の中には猫の爪にかける「爪キャップ」という猫グッズも存在します。爪切りをした後にそっと爪の上に装着してあげることで、爪先をマイルドにして、猫が自分の体を引っかいたときも傷になりにくいよう作られています。もちろん、家具や壁紙を傷つけるのも防げます。
爪切りは慎重に
思うように爪とぎをさせてあげられない環境は猫にとっても辛いものです。ストレス発散もままなりませんし、伸び過ぎた爪が創傷や化膿の原因になったりします。肉球に爪が食い込むのを想像すると分かりやすいでしょうか。
爪とぎに対する2つ目のアプローチとして、今度は猫の爪切りを学びましょう。必要なものは動物用の爪きりと、いざというときの止血剤だけ(これは犬の爪きりの項目でも紹介した通りですね)。ただし、爪切りを行うにあたって猫が膝の上に乗って大人しくしてくれなければ話になりませんので、もし落ち着かないようでしたら信頼関係を築くところからはじめましょう。
爪きりの方法は以下のようになります。まずはLesson11-2で学んだ猫の抱き方のひとつ、猫を後ろから抱え込む方法を実践してください。後ろから抱きかかえて猫を固定し、足の指先をチェックします。調べ方は簡単で、指先を押さえて爪がにゅっと出てくるのを確認すればよいのです。
爪を切るかどうかは爪の先をよく見て判断しましょう。丸まっているならまだ大丈夫ですが、もし鋭く尖っていたら切ってあげる必要があります。
犬と同様、猫の爪も奥の方は神経が通っています。ここを傷つけると猫は痛がり、次回以降爪を切らせてもらえなくなる恐れがあります。深爪をしないように十分注意してください。切るとしても、先端の白い部分だけ、ほんの1~2mm程度にとどめておきます。
猫の爪の手入れについては以上です。次のLessonでは「歯」について学んでいきましょう。