Lesson11-4 猫との触れ合い、その注意点

うかつなコミュニケーションにご用心

猫とコミュニケーションを取る上で気をつけるべきことはたくさんあります。ここでは猫の体の仕組みに触れつつ、そのちょっとした注意点についてみていきましょう。

猫は子音を区別できない

人間にとっては辛いことですが、猫は人の声を聞き取るのがあまり得意ではありません。Lesson8-4でも触れた通り、聴覚はとても鋭いのですが、どうやら子音を区別しづらいようです。

つまり、”Papa”や”Mama”など同じ母音が続くものは同じ音として受け取ってしまう可能性が高いのです。これが何を引き起こすかというと、”Mike”や”Tize”のように子音以外で区別できない名前をつけてしまうと、こちらでは呼び分けているつもりなのに2匹同時に「名前を呼ばれた」と思って振り向いてしまう可能性があるということです。

名前をつける際はこれを踏まえ、しつけなどで命令の言葉を使うときも、なるべく母音のかぶらないものを選ぶようにしましょう。もちろん、驚かせるような大きな声を出すのは厳禁です。猫なで声で呼びかけてください。

肉球を揉んではだめ?

猫の肉球は高いところから着地するときの衝撃吸収剤になる、という話を覚えているでしょうか。しかし肉球の役割はそれだけではありません。足音を立てずに獲物に忍び寄るのも肉球の消音効果があればこそですし、滑り止めとしての役割も果たします。

なぜ滑り止めとしての役割を果たすかといえば、肉球は猫の体で唯一汗をかける部分だから、というのが正解になるでしょうか。ちょっとした湿り気のおかげでぐっと踏ん張ることが可能になり、滑りやすい地形でも獲物を捕らえることができるようになるのです。

いってしまえば肉球は大切な商売道具のようなもの。狩猟者としては守るべき体の一部です。猫によって差があるとはいえ、肉球を触られたくない猫は当たり前のようにいるもので、飼い主としてはマッサージの前に「触っても大丈夫かどうか」はきちんと確かめておくべきでしょう。尻尾を振るなどのNGのサインが出たら肉球を触るのは控えましょう。

Lesson11-4

ただ、どうしても肉球を触らなければいけないケースがあります。長毛種の肉球周りの毛の処理です。彼らは肉球の間に生えた毛が邪魔をしてフローリングで滑ってしまうことがあります。短毛種なら特に邪魔にはなりませんが、毛が長いと怪我に直結する可能性はありますので、このお手入れは十分に注意して行いましょう。

顔を近づけるのはNG?

もし猫に思いっきり顔を近づけたとしても、猫はさほど抵抗しません。慣れ親しんだ人間の顔でしたら、近寄られても問題なく受け入れてしまうでしょう。

ですが、近寄り過ぎると人間の方に病気が移る可能性があります。

人と猫が共通で感染する人獣共通感染症ズノーシス)と呼ばれるものがあります。その代表例はご存知の方も多いでしょう。回虫という寄生虫です。

寄生虫が肛門付近にいた場合、猫がグルーミングの際にそのあたりを舐めてしまうと、舌や口の周りに寄生虫やその卵が移ってしまうことがあります。その状態で人間が顔を近寄せた場合、口から感染してしまう可能性が高いのです。いくら身奇麗にしても猫は野生の動物なのだ、ということはきちんと念頭に置きましょう。

万が一寄生虫がいた場合は、動物病院で駆除のための薬を処方してもらいましょう。