社会的な遊びと一人遊び
生後4週ほどの猫は兄弟同士で遊んで社会性を身につけます。もし兄弟がいない場合は母猫が遊び相手になることが多いのですが、そうでない場合はおよそ7種類の遊び方を同じ年頃の猫たちの間で繰り返します。
その時期が過ぎて生後7~8週齢ごろになると、今度は1匹での遊びに興じるようになります。生後6ヶ月ほど経つと遊びに興味をなくしていくため、それまでにたっぷり遊びの相手をしてあげましょう。
猫と遊ぶのは、ペットとの付き合いで最も楽しい部分の1つと言えます。なにしろ猫は遊ぶのが好きな動物です。1日10分から15分程度、適度に遊んで狩猟本能を刺激してやれば、飼い主との距離は一気に縮まることでしょう。
もちろん、遊びの役割はそれだけではありません。飼い主とコミュニケーションをとるだけでなく、運動不足の解消という大事な役割があります。若いうちにたくさん遊んであげると、上手くいけば10歳くらいまでは遊びに付き合ってくれるので、そのぶん肉体年齢を若く保てるのです。
注意点としては、猫の品種による個体差が思いのほか大きいことでしょうか。チンチラやペルシャ猫といった長毛種はあまり運動をしない品種ですので、10分も遊べば息が切れてしまいます。逆に短毛種のアメリカンショートヘア、シャムなどは広範囲に渡って活動し続けた品種であるゆえ、多くの運動を必要とします。1日20分~30分程度は遊ぶための時間を用意すべきでしょう。
上下運動を取り入れてみよう
猫の狩猟本能を刺激するようなおもちゃを想像してみましょう。どんなものが思い浮かびましたか? たとえばネズミのような、手で握れるくらいの大きさの灰色のおもちゃでしょうか。もちろんそれも正解です。誤って飲み込んでしまわないような大きさであれば、きっと猫のストレス解消と運動に一役買ってくれるはずです。
羽のようなおもちゃもいいでしょう。特に、キジの羽を模したおもちゃは猫の狩猟本能を刺激します。夏であれば猫じゃらし(エノコログサ)の穂を使うのも風情があって乙なものです。猫の眼前で意味深にぴょんぴょん振ってやると、目を輝かせて反応してくれることでしょう。
猫とおもちゃで遊ぶ際のコツは、上下運動を取り入れること。駆け回る習性を持たない猫は広いスペースを必要とする種族ではありません。しかしながら、何度も触れてきたようにもともとは樹上で暮らす生物ですから、縦方向の運動は猫本来の生き方に合致しており、とても有益なのです。

したがって、この種類のおもちゃで遊ぶときは、床に置いて使うのではなく、猫がちょっとジャンプしたり背伸びをしたりしなければ届かないような高さで揺らしてみるのが効果的です。こうすると、まるで獲物が目の前で揺れているような、狩猟本能を揺さぶる動きになりますから、猫は気になってつい前足を伸ばしてしまうのですね。もちろん動きとしては獲物らしさを再現するために、ときには止めてときには勢い良く動かします。
とはいってもその手のおもちゃでばかり遊んでいると、猫もそのうちに飽きてしまいます。コミュニケーションや運動不足解消のための遊びも飽きられてしまっては意味がありません。そういうときは新しいおもちゃに変えてみるのも手でしょう。
レーザーポインターで遊ぶ!
新しいおもちゃとしてよく使われるのがレーザーポインターです。猫の体の手前の床を照射してみると、猫は床に出来たレーザーの跡を追いかけて行きます。狩猟動物としての本能がそうさせるのでしょう。ただし、本能が満たされるのは「獲物を捕らえたとき」に限ります。レーザーポインターの光は捕まえられませんので、遊びを終わらせるときにキャッチできるおもちゃをこっそり用意しておくと良いでしょう。
日本で猫のおもちゃ用として販売されているレーザーポインターは、直接目で見ても大丈夫なほどの威力しかありません。レーザーの威力基準には4段階あって、猫用のものは安全な「1」の設定で販売されているものがほとんどです。だからといってずっと猫の瞳や体に当て続けても良いことはありませんし、安い輸入品などはその設定が外れている場合があります。安全面で問題ないかどうかチェックしてから使うのがよいでしょう。
猫用ジャングルジムの設置
飼い主とのコミュニケーションより運動不足の解消に重点を置く場合、ジャングルジムやキャットタワーの設置を考えましょう。
怪我をしないよう注意する必要はありますが、なかなか効果的です。大きさは猫の体格にも左右されますが、20cmごとに段差をつけて階段のように上れるようにしたり、自由に高さを調節できるような構造のものを選んだりすると、後で悩まずに済みます。部屋の天井まで届くような大型のものでも良いですが、もし猫が見向きもしなかった場合は部屋のスペースをとるだけの代物になってしまうので、購入の際は金銭面や部屋の広さを考慮しましょう。
でも、部屋の中にこのようなジャングルジムやキャットタワーが突然登場したら、猫だってびっくりするはずです。最初は近づかなくても気にせずに、おやつやお菓子を使って誘導してみてください。