Lesson10-2 猫の座り方

猫の座り方にも意味があるの?

猫の座り方として最も有名なものは「香箱座り」でしょうか。

香箱とは香木や香料を収めるための蓋付きの箱のことで、茶道や香道の道具です。猫の香箱座りは、見た目がこの香箱に近いところから名づけられたのでしょう。長方形の箱にすっぽり納まるような座り方で、前足を畳んで体の下にしまっています

この姿勢でいるときにとっさの危機が訪れたとしても対応することはできませんから、野生の猫が香箱座りをするところはあまりお目にかかれません。屋内で飼われている猫が、危険も感じずにとてもリラックスした状態になっている証と捉えることができます。

Lesson10-2

このように、猫の座り方一つとっても様々な意味があるのです。このLessonではそれぞれの座り方について学んでいきましょう。

眠る直前の猫の座り方

体を横に倒し、前足と後足を同じ方向に投げ出しているような姿勢を取るのは、猫が夢うつつの状態にいるサインです。人間にたとえるなら、ごろんとベッドに倒れこんで、横向きに目を閉じているような状態と言えるでしょうか。

寝てしまうかどうか悩んでいるとき、猫はこのような座り方をします。非常にリラックスしていること、体にはあまり負担のかからない楽な体勢であることから、眠りの浅い猫にとっては取りやすい姿勢と言えます。

尻尾を巻き込むような座り方

お尻を下ろして両前足を体の前に揃える、という座り方は猫の姿勢の中でもポピュラーなものです。ただし、その状態で尻尾を体に巻きつけているようなら、リラックスしているとは言えません。

種類によって尻尾の長さには大きな違いがあり、たとえばマンクスという品種にはそもそも尻尾がありません(ごく短い尻尾をもつものもいます)。日本の猫も短いものが多く、逆に海外の猫は尻尾が長い傾向にあります。

尻尾は寒いときにマフラー代わりにしたり、高いところから降りるときにバランスを取ったりする上で欠かせないものですが、それを体に巻きつけるのはちょっと変わった意思表示になります。

座っているときに尻尾を体に巻きつけるのは、警戒心が強い猫に見られがちな特徴の1つと言われています。尻尾で体をガードしているという風にも取れますが、尻尾を巻きつければ足跡や足の臭いを消せることから、相手に悟られないように警戒しているとも取れます。いずれにせよ、この座り方は友好のサインではありません。

スコティッシュフォールドの座り方

後ろ足をがに股にして両前肢を後ろ足の間に入れるような座り方です。腹部を飼い主に見せ付けているようで、またその様子が人間のおやじのようであることから、一部ではおやじ座りなどと言われたりもしますが、本来はスコティッシュフォールドという種に特徴的な座り方でした。ゆえに「スコ座り」などと呼ばれたりもします。ちなみに英語圏では座禅を組むように見えることから「ブッダポジション」と呼ばれています。

よほどの肥満体でもない限り、ほとんどの猫がこの座り方を体得できます。お腹のグルーミングである腹舐めや股舐めからこのだらっとした姿勢に移ることがあるようで、どうも「おや、意外と心地よい体勢を見つけた」と思っているふしがあります。別にお腹を見せ付けようと尊大な座り方をしているわけではないのですね。

ただ、猫自身がこの体勢をずっと維持するのは体に負担がかかってしまいますので、なかなか見る機会には恵まれません。もし見つけたら、リラックスしているのだと考えましょう。