Lesson10-1 猫の姿勢から気持ちを読み解く

猫の姿勢から気持ちを読み解く

鳴き声、しっぽの動きからの感情の読み方はこれまで学んだ通りです。続いては様々な行動からの読み解きにチャレンジしてみましょう。手始めに、このLessonでは姿勢について学んでいきます。

まずは典型的なものから見ていきましょう。

四つの姿勢の分類

動物行動学者Leyhausenが1975年に作成した猫の姿勢一覧図によれば、猫の姿勢は「攻撃性」「恐怖と服従性の度合い」の2つの指標を軸に4種類に分類できます。これを元に猫の姿勢がなにを意味しているのか、探っていくことにしましょう。

リラックスの姿勢

「恐怖と服従性」「攻撃性」の度合いがともに低い場合、猫の姿勢はわたしたちが普段眼にするようなゆったりとしたものになります。4本の足をしっかり地面につけ、いつでも歩き出せるような状態で立ち止まっています。

瞳孔の大きさは中程度耳は前方を向き口は閉じたまま歯を見せることもありませんしっぽは緩やかに垂れており体が硬直しているということも、まさしく自然体と言えます。

攻撃的な姿勢

「攻撃性」の度合いが高まると、猫の姿勢はやや前傾気味になります。伸びの姿勢とも似ており、ややお尻の位置が高くなっているのが特徴です。

リラックスしているときと比べると瞳孔の大きさはいくらか狭くなります。耳もピンと立ちはしているのですが、正面ではなく横向きになっているのが特徴です。攻撃性の度合いを知りたいなら、この耳の横向き加減を見るとよいでしょう。攻撃的になればなるほど横を向く傾向にあります。ヒゲはやや前方を向いています。

怖がっているときの姿勢

「恐怖と服従性」の度合いが高まると、猫は防御的な姿勢を取るようになります。イメージとしては全身を縮こまらせてなるべく自分を小さく見せようとしている、という感じでしょうか。うずくまっているので尻は地面につくほどに下がり頭もお辞儀をするように下がり気味です。

しっぽは体の側面に沿うようにくるっと丸めてくっつけたりしています。Lesson9-3でも習った通り、恐怖心が高まると股の間に挟んだりすることもあります。恐怖で目を見開くという言葉があるように猫の場合でも瞳孔はぐっと広がり耳はぺたんと寝て頭につきそうなくらいです

怖がっているときは触ってもまるで反応を示さなくなることがあります。この硬直反応は死んだフリに近いのですが、特に心身に問題があるわけではないので落ち着いて回復するのを待ちましょう。

攻撃的な姿勢の猫と防御的な姿勢の猫が街中で遭遇した場合、もはや姿勢の時点で上下関係が決まってしまうので、猫同士の喧嘩に発展することはまれです。ただしうっかり手を出してしまうと防御的な姿勢の猫に反射的に攻撃される可能性がありますので、気をつけるようにしましょう。

恐怖と怒りの姿勢

恐ろしいとは思いつつ怒りも感じている、という状況に陥って葛藤が生じています。たとえば強そうな猫に餌を横取りされる状況を思い浮かべていただけると分かりやすいでしょうか。そういうとき、猫は中を山なりにして威嚇行為に出ます。防御的姿勢の逆で、体をなるべく大きくして自分の強さをアピールしようというのですね。鳴き声を上げたり毛を立たせたりするのもこの姿勢の特徴です。

瞳孔は狭まり、耳は寝かせていますが、頭にくっつくほどぺたんとしているわけではなく、ほんの少し上向きになっています。ヒゲはやや横向きで、体に張り付かせるように側面に寄せていることもあるでしょう。