Lesson9-3 しっぽの動きから感情を読む

素直な気持ちはしっぽの動きに表れる

猫は尻尾を使ってストレートに感情を表してくれます。動きは多彩で読みやすく、表情や鳴き声より分かりやすいかもしれません。

尻尾を使ったコミュニケーションの方法は先祖代々受け継いできたものですが、全ての動物が全く同じ動きで同じ感情を表すわけではありません。極端なことを言えば個体によっても微妙な差があるでしょう。動きの意味は犬と異なるものもあります。ただ、それでもこれらの動きの一般的な意味を押さえておくのは、猫の気持ちを読み取る上でとても大事なことです。

様々な尻尾の動き

しっぽを真上にピンと立てる

この動きは嬉しいとき甘えているときの仕草です。猫にとっての挨拶の仕草でもあり、飼い主に対して撫でてほしい、構ってほしいといった要求を伝えるためのものでもあります。しっぽの先端をやや前に向けた場合は特に挨拶の意味が強くなりますが、先端が曲がっている場合は自信のなさのあらわれです。

しっぽをぶるぶると小刻みに震わせる

嬉しい気持ちを表現する際にしっぽを小刻みに震わせます。気に入った相手にしか示さない仕草なので、これは最高の愛情表現であると捉えてもいいでしょう。

しっぽを左右に大きく揺らす

最高の愛情表現かと思いきや全くの逆です。リズミカルに左右に振っているときは己の強さを誇示するためで、特に激しいときや、しっぽを地面に叩きつけたときなどは、とてもイライラしています。ピンと立てたまま左右に揺らしている場合はこちらを馬鹿にしていると考えられるでしょう。

しっぽを山形にする

攻撃的な気分になる前段階です。攻撃態勢を取り始めるときの仕草で、このときの尻尾に触ると固くなっているのが分かります。しっぽが固くなるのは猫の警戒が高まっているサインです。

Lesson9-3

しっぽをだらんと垂らしている

攻撃に備えています。ただし、叱られたときなどにしょんぼりした気持ちになってしっぽが垂れてしまったり、体調不良が原因でこのような状態になっていることもあるので、体調に気を遣ってあげると良いでしょう。

しっぽの毛が逆立ち、膨らむ

怒りの鳴き声を発しながら、という場合も多いので比較的分かりやすいでしょう。威嚇のしっぽです。強気になっているときはこれに加えて全身の毛が逆立ったりもします。

しっぽが地面に対して水平になっている

リラックスしているとき、しっぽは地面と水平になります。ただしやや上向きの角度になると、今度は少し異なる意味になります。これは様子を見ている自信がないといった気持ちを意味します。

しっぽを足の間に挟んだり、体にぴったりと巻きつけたりする

犬と良く似ていますが、猫にとってもこれは服従のサインです。足の間にしっぽを巻き込む理由はいくつかありますが、しっぽが攻撃されるのを防ぐ恐怖心を感じて弱気になって体を小さく見せるため、あたりが正解のようです。

先端だけをぴくぴくと動かす

名前を呼ばれたけど動きたくないなあ、なんて思って生返事することはありませんか? 猫も似たような気持ちになることがあるようで、寝そべったまま先端だけをぴくぴくと動かしたりする理由はそれです。座っているときは警戒心興味関心を抱いていると考えらえれますが、動きたくない気持ちは一緒のようです。

縦にゆっくりしっぽを動かす

これからの行動について思案しているとき、猫はしっぽをゆっくり縦に振ってパタパタさせます。今日は何をしようかな、と考えているときにわたしたちが無意識に腕を組むようなもので、猫も猫で考え事をしている時は体が勝手に動いてしまうようです。

抱かれたときにしっぽをお腹にくっつける

背中側から猫の両脇に手を差し込んで抱え上げ、自分の膝の上に乗せてみると猫からの信頼度が分かります。しっぽを内側に畳み込むように自分のお腹につけると、あなたのことを怖がっているという意味。逆に猫がリラックスしている場合は、しっぽをだらんと垂らしています。

これらの動きとその意味するところを理解することで、猫の気持ちへの理解力は格段に向上します。鳴き声や仕草との組み合わせ次第ではほぼ間違えることなく猫の心が読めるようになるでしょう。それでは、次のLessonでは猫の行動を見ていきましょう。