Lesson5-5 毛と皮の手入れ――ブラッシング実践

前のLessonでブラッシング前の準備は済みましたね。それでは、実際のブラッシングに入っていきましょう。

基本的な流れ

最初に毛の流れを確認すると、スリッカーブラシで大まかに毛を梳いていきます。そしてコームの間隔の広い方でもう少し細かく、狭い方で更に細かな調整を行う……というのが基本的な流れになります。

スリッカーブラシを使う際の注意としては、皮膚を傷つけるのを恐れ過ぎるあまり毛玉をほぐしたり出来なくなることです。人間の毛は先端で絡みますが、犬の毛は根元から絡み合っていることが多いので、皮膚を傷つけずなおかつ根元までしっかりブラシを食い込ませる必要があります。

ブラッシングを行う順番としては、最も抵抗の少ない背中から始めるのが基本となります。そこから体の両サイド、首や胸といった比較的抵抗の少ない部位、毛玉のできやすいお腹、そして頭、足先や耳と順に巡っていきます。

Lesson5-5

まず片手で毛を掻き分けて根元を露出させたあと、スリッカーブラシを当てて、毛が本来流れる向きに合わせてゆっくりとほぐしていきます。毎日のお手入れではソフトタイプのスリッカーブラシを使うことになると思いますが、毛の固い犬種であればハードタイプのものを、特に毛玉をほぐす際には固いものを使うのが良いでしょう。

絡まった毛をほぐすにも順番があり、特に根元から毛先までもつれている場合は注意する必要があります。根元から絡まった毛をほぐそうとして途中で引っかかるとなかなかスムーズにはいきません。まずはコームで毛先の絡まりを解いてやり、先端が引っかからないようになってから根元をほぐします。

根気良くスリッカーブラシを当て続け、ひっかかりがなくなればコームによるブラッシングへと移行します。ブラッシングの基本はこの流れの繰り返しと覚えておくと良いでしょう。

犬種別お手入れ方法の違い

滑らかで短い毛を持つ犬種

基本的には毛が短い方がブラッシングは手間がかかりませんし、ドーベルマンのように滑らかな毛を持つ犬の場合、スリッカーブラシを使う必要もなくなります。ラバーブラシを使って毛をとかし、艶を出したい場合は獣毛ブラシでお手入れをするのが良いでしょう。

短毛種

コーギーや柴犬を想像すると比較的分かりやすいでしょうか。柔らかい短い毛を持つ種類ですが、これらの犬種は決して毛が滑らかなわけではありません。スリッカーブラシやピンブラシでしっかり抜け毛やもつれを処理し、コームで毛の流れに沿って整えます。

長毛種

ブラッシングが最も難しいタイプです。スリッカーブラシを使って丁寧に、毛の根元からちゃんとクシが流れるようにとかしていきます。この種類は特に毛の根元が絡み合ってしまうことが多いので、しっかり手で毛を掻き分けて、ひっかかりの発生しそうな毛玉やもつれを処理します。

以上がブラッシングの基礎となります。犬種によって毛の種類も千差万別、お手入れの方法もちょっとずつ違ってきますが、基本は汚れや毛玉を取り被毛の健康を保つこと。そこを押さえておけば、後は実践で少しずつスキルを磨いていくのみです。