Lesson5-2 爪と歯のお手入れ

爪のお手入れはなぜ必要?

お仕事によっては爪を短く切り揃えるよう指導された方も多いでしょう。体を清潔に保ち、長い爪で人や物を傷つけないように注意するのは社会人のマナーです。

犬の場合はまたちょっと事情が違います。人や物を傷つけないためという側面もさることながら、他にも見過ごせない問題があります。実は、爪が伸びると歩くたびに皮膚に食い込んでしまうんです。

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犬の爪が伸びる速度は相当なもの。ビーグル犬を例に取ると、2歳の頃には毎週1.9mm歳をとっても毎週0.9mm伸びていた、という報告があります。伸びの緩やかな時期でも人間の成長ピーク時のそれより速いのですね。いくらでも爪とぎのできる野犬、あるいは屋外で犬を飼っているならともかく、あまり爪をとぐ機会のない屋内犬にとって爪切りは死活問題です。うっかり放置していると、巻き爪になりかねません。

爪切りのポイント

人間同様、爪は根元と先端とで性質が異なります。クイックと呼ばれる爪の中央部分は神経と血管が通っていますので、ここを傷つけないように先端だけ切るのがコツです。犬用爪きりを用いて先端を切り、切断面は体を傷つけられないよう、やすりで丸くなるまで磨いておきましょう。

万が一のときのために止血剤を用意しておくと安心です。もし深爪をしてしまって血が出た場合、なかなか止まらずに大変なことになり得るからです。また、爪と皮膚の間はお手入れなどが行き届かず、雑菌が増殖しやすい環境になっています。傷跡から雑菌が入る可能性もありますので、充分に気をつけて行ってください。

犬の歯を綺麗にしよう

歯を磨いてあげるのも大切なスキンシップのひとつ。口内炎口腔内腫瘍が発見された場合、早めに主治医と相談するなりして手を打ちましょう。

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健康な歯には臭いがなく、歯垢や歯石もありません。変な臭いがしたり、汚れが残っていると、歯石症、歯肉炎、歯周炎など様々な病気の可能性が出てきます。ですから、歯磨きでは口臭のチェックをすると同時に、歯石などを重点的に取り除くことになります。

2014年、イギリスのウォルサム研究所が発表した調査結果によれば、歯磨きをやめた犬の大半は6ヶ月以内に初期段階の歯周病を発症するそうです。進行具合は様々ですが、屋内で犬を飼う場合は毎日忙しい方でも2~3日に1回は歯磨きを行わなければ、ほぼ確実に何らかの病気にかかると思った方が良いでしょう。

歯磨きのテクニック

まずは準備から

いざ歯を磨こうと思っても、じっとしてくれないようでは埒が明きません。ボディコントロールの項でも触れたように、口の周りはあまり触られたくない場所ですから、なれない子犬は抵抗してしまいます。

そのためのしつけとして、まずは膝に乗せるところからはじめましょう。ゆっくりでかまいません。「膝に乗せる」「口の周りを触る」「指で歯を触る」「上あごをつかんで口を開ける」「歯ブラシを当てる」と段階的に進んでいきます。拒絶された場合はそこでしつけのやり直しになりますが、根気よくいきましょう。

指で歯を触る際は、犬の好む味付けの歯磨き粉を使うと効果的かもしれません。ただし、キシリトールは犬にとって有害な物質なので、決して人間用の歯磨き粉は使わないで下さい。

実際に歯を磨いてみよう

最初は指にガーゼを巻きつけて歯磨き粉をつけ、口の中を触るように磨いていくという方針でいきましょう。ガーゼを巻いた人間の指に慣れてきたと感じたら、今度は歯ブラシを使ってみましょう。なるべくヘッドの小さいものを選ぶようにするのがコツです。歯を磨く際はあまり力を込めず、やさしく歯垢を落とすよう心がけます。

最初はあまり汚れにくい犬歯から、続いて横の歯、前歯と順に磨いていきます。歯周病になりやすいのは臼歯門歯なので、このあたりは特に重点的に磨くようにしてください。

続いて、犬の毛のお手入れについて学んでいきます。