Lesson7-1 病気や事故に対処するために

犬の健康のために何が出来るか

飼い犬が急に病気になったら……なんてことは考えると恐ろしいのですが、生きている以上避けて通ることは出来ません。

改正動物愛護法でもペットに関する飼い主の責務についてある程度の分量を割いた記述がなされており、飼い主は飼育放棄をすることなく病気や怪我の予防に努めなければなりません。この章では、避妊手術(不妊手術とも言う)、病気に対する予防、および緊急時の措置などについて学んでいきます。

Lesson6-1では、犬を飼う際に避けては通れない避妊手術ワクチンの話をしましょう。

去勢手術や避妊手術について

犬が生まれたときに貰い手を探すのはなかなか大変です。ペット禁制のマンションに住んでいたり、そもそもアレルギーで触れられない、ペットを飼うだけの時間がないなどの理由で断られる場合がほとんどです。

そういうとき、犬はどこに行くのでしょうか?

飼い主によっては道端に捨ててしまったりもするのですが、こうして見捨てられた犬は保健所に拾われて、貰い手が見つからなければ殺処分されてしまいます。保健所では毎年何万頭もの犬猫が殺処分されているとのこと。仕方がないとはいえ、どれほどの飼い主が責任逃れに走ってしまうのか、分かりそうなものですね。

もし生まれた子犬の飼い主を見つける自信がないのなら、避妊手術を行いましょう。

オスは精巣の納まっている睾丸を摘出することで去勢し、メスは避妊のために卵巣・子宮を摘出します。時期は最初の発情期を迎える前が目安。メスは生後7ヶ月から9ヶ月頃に最初の発情期を迎えますので、その少し前に。オスはメスの匂いに釣られて発情するので、やはりその前の生後半年頃が最適です。

手術自体にはさほど時間はかかりません。1時間前後から日帰り、もしくは1泊程度のスケジュールで考えて下さい。また、術後の回復を考慮して、1週間ほど獣医の下へ通う必要も出てくる可能性があります。費用はオスが2万円前後、メスが3万円前後です。

ワクチン接種

ワクチンは義務として打たなければならないもの飼い主の選択に委ねられているものの二種類があります。前者は毎年役所からお知らせが送られてくるので、飼ったことのある方なら分かると思いますが、狂犬病のワクチンです。これは絶対に打たなければならないものなので、毎年1回必ず摂取してください。日本国内で犬から人へ感染した例はここ数十年見当たりませんが、外国で犬に噛まれて帰国後に死亡したケースがあります。人間が狂犬病にかかった場合、死亡率はほぼ100%です。

狂犬病

感染症ワクチンを摂取するかどうかは飼い主に委ねられていますが、こちらもなるべく毎年打つようにしましょう。大体は3~9種類の混合ワクチンを毎年摂取するような形に落ち着くでしょう。もちろんワクチンの中には1年以上効果が続くものがあるので、もし無駄打ちを避けたいなら獣医師と相談する必要があるでしょう。

摂取する理由は多々あります。自分の飼い犬を病気から守るためというのが一番大きな理由です。しかし、ワクチンの予防接種で救えるのは1匹だけではありません。自分の犬が感染源にならないので、近くで一緒に暮らす他の犬を守ることにもつながります。予防接種をしていない犬がドッグカフェやペットホテルに入れない理由はここにあります。

また、犬から他の動物へ病原菌が移る可能性も見過ごせません。世の中のペットは犬だけでなく、もし飼い主が「自分の犬は感染しないから」と経験を元に判断を下しても、犬を介して隣家のフェレットが病気になる、といったことは当然起こり得るのです。

続いては、急な事故や応急処置の対策について学びましょう。